就農を目指すにあたっての経緯④

こんばんは、とらパパです。

最近も朝5時半からの収穫が日課になっています。ですので夜は子供と寝てしまうことも増えてきました。健康的な生活です。

先日、収穫では取り逃がさないことと書きました。では、トマトの色が一日でどのくらい変わるものなのか、実験してみました。

真ん中下が対象です。
翌日の同じ時間(5:30)ではこうなりました。

このような色になると時期によっては熟しすぎて出荷できませんので、やはり採るタイミングが重要です。ちなみにこのトマトはやや日差しを受けやすい場所にあるため、少し黄色がかっています。

それでは、就農の経緯の最終回です。

⑤就農地域

⑥家族との時間

⑦家族、親の協力



⑤就農地域

平取町以外での就農は考えていませんでした。

ただ、全国および北海道の他の地域で自分が住みたい、魅力的だと感じる場所は調べてみた方が良いと思います。探せばいろいろと候補が出てくると思いますが、私たちは北海道に魅力を感じていたのと、前回の④で述べた経済的な自立性という観点などから他の選択肢は持ちませんでした。

一方、客観的な意見も聞きたく北海道農業公社に問い合わせしてコロナ禍でもありますのでZoom面談も行いました。

そこで実感したのはやはり平取町の新規就農の制度は道内でもしっかりしていて実績があるということでした。

場所に関して私が重視していたのは「産地であること」でした。平取町は道内、全国でも有数のトマトの産地ですので、その収量や品質を確保するためには新規就農者にも一定レベルの技量を習得してもらう必要があります。そのためには研修制度はしっかり確立されているはずだろうと。

話は脱線しますが、平取町がトマトの産地であることを知っているのは私の周りではほぼ誰もいませんでした。それどころか、北海道に平取町という町があることを知っている人もほぼ皆無でした。私の中では全国有数のトマトの産地と思っていたのですが、世間と大きなズレがあったようです・・・。

北海道農業公社の方から私が気にしていた点は自信を持って大丈夫だと言えるとのことでした。平取町以外にも産地かつ生産技術が安定している場所をいくつか紹介して頂きましたが、その中でも日高地方は道内では比較的降雪が少ない方で春の作業が早く始められるというメリットがあります。

平取町(振内町)は新千歳空港、富良野・美瑛、十勝からもほどほどに近いところも魅力的でした。あと私がトマトやほうれん草といった作物が好きだからということもあってというのも否定はできません…。

また話が脱線して申し訳ありませんが、新規就農を目指す方は時間が許す限り農業公社、個人や法人で5,6次産業化をしている農家さんなどいろいろなお話を聞いて自分が目指す方向と実際にできる環境とをマッチングさせていくのが良いと思いました。新農業人フェア、北海道移住などのイベントの機会が良いかと思います。

平取町で町が支援するルートで新規就農する場合、農家はJA(農協)のみに納品することになります。つまり農家は作って出荷するところまでが仕事になります。

北海道の別の地域で農家をされている方で、大都市のレストランと直に掛け合うなど販路は自分で見出すことで高収入を得ているというお話も聞きました。作物を作る傍ら2次、3次産業化にもチャレンジされたい方は方向性が違いますので要注意です。

⑥家族との時間

昨年1年はコロナの影響で在宅のテレワークが増え、私にとっては生まれたばかりの子供と毎日たくさんの時間を共有することができ、この点は良かったです。

ただ、これが今までの働き方に戻った時(完全に戻ることはしばらくないように思いますが)、また仕事の責任がさらに増えていった際に子供や家族と時間を共有できるのかは不安でした。

私は今研修中ですが、朝晩の食事は家族一緒にとっています。また、朝は子供の保育所に夫婦一緒に送りに行っています。先輩農家の方々を見ている限り、都会に比べて自然に家族間のコミュニケーションが多いように感じます。この点はすごく良いと思っています。

ちなみに私の子供が通っている保育所は子供は20名くらいで子供たち同士、先生との関係、食事や遊ぶ環境も充実していて、子供がとても楽しく過ごしているように思います。

平取町の小中学校の給食も昨年道内で一番との評価を受けたとの新聞記事も読みました。自然も多く、子育てにはとても良い環境だと感じています。

デメリットとしては夏の最盛期に子供と遠くに遊びにいったり、旅行に行ったりすることが難しい点です。

夏に2日以上家を空けること、例えば夏の沖縄旅行とかお盆の実家への帰省は残念ながら農業を引退するまでは実現はできないと思います。夏のアクティビティは絶対に譲れないという場合は少し考えた方が良いかもしれません。

その代わり最盛期を除いては時間を作りやすく、特に冬の間はたっぷり時間があります。さらに冬に家族で共通の趣味があればきっと楽しく過ごせると思います。

他のデメリットとしては、平取町では子供の進学についての問題があります。中学校を卒業し、高校生になるタイミングで平取を出るケースが非常に多いです。

平取町にも高校はありますが1校のみですので、それ以外の選択肢となると町の外に行くことになります。近くの町の富川や静内、それ以外には札幌や苫小牧に行く子もいます。

そうなると子供と一緒の家で生活するのは15歳くらいまでということになります。人によっては中学から全寮制の私立に行かせるということもあるそうです。子供の自立が早いことは良いことなのでしょうけど、寂しくはなりますね。

⑦家族、親の協力

今まで会社員を続けてきた方が脱サラして農業すると宣言すれば、普通の家族、親なら反対すると思います。私達ももちろんそうでした。

なぜ会社員をやめるのか。なぜ農業なのか?北海道なのか?そういったことを話し合って、納得してもらうことは大変な作業です。

最初は論外だという感じになりますよね。一体全体どうしたんだ?という感じです。第三者から見れば、今まで学生から会社員というレール(?)に乗っていた人が、突然農業というコースアウト(?)のような状況を望んでいるのですから、私が親でもまずは止めると思います。

昔の農業=休みがない・重労働というのが一般的ですし、平取町での比較的安定した収入の話をすると、そんなうまい話があるならみんな農家をするし地域の過疎も進まないはず・・・そう思うのも当然です。自分が親でも会社員よりもリスクがある農業を積極的に進めることはしないと思います。

それでもなぜその道を選びたいのか、じっくりと話し合う中で思い留まることもあれば、自分の腹が決まっていくこともあると思います。今までの道を行くのか、農業に飛び込むのか、正解はありませんし、その時に自分が置かれている環境で答えは違ってくると思います。

また、私に限らず、多くの新規就農者にとっては親兄弟とは離れた暮らしになります。既に離れた暮らしをしているのであれば、それほど大きな変化にはならないかもしれませんが、 遠く離れるケースもあると思います。

私たちは学校を卒業するまで金銭面でサポートしてくれ、その後就職し、この度全く別の道を歩み、北海道に移住しようとしていることに親には申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

それでも話を聞いてくれ、最終的に送り出してくれたことに本当に感謝しています。私達が一生懸命研修し、就農し、子供をしっかり育てていくことで恩返しできればと考えています。

また、就農にあたってパートナーの協力は不可欠です。平取町で新規就農を目指す必須の条件として「夫婦で」というものがあります。実際に家族を養う収入を得るためには2人でしっかり働くことが必要になってきます。

今まで書いてきた通り、今回の就農にいたる経緯は完全に私のわがままです。それに対して、妻はそれまで働いていた職場、築いた人間関係を離れて私のわがままに付き合ってくれる決断をしてくれました。

妻も最初は反対でしたが、決断をしてからはいろいろとサポートしてくれ、今では研修中のメモを率先してとったり来年に向けての意見やアイディアを出してくれます。振内での生活も私よりも楽しんでいて、前向きに毎日を過ごしてくれていること、本当に感謝しています。

来年からは2人で協力してやっていかなければなりません。意見が違うこともあるでしょうが、目指す方向は同じですので仲良くやっていきたいです。

以上の7項目が私(私たち)が重視してきた主なポイントでした。

もちろんこれ以外にも細かいことはいくらでもありました。病気になったら病院はどうするのか?農業を引退したらその後は?買い物をする場所も今までと違って限られるけど?などなどです。

考えれば考えるほど今までの生活よりもマイナス面ばかりが目立って不安になります。そんな時はなぜ自分が就農や移住に魅力を感じるのかという原点に戻って、その思いが不安を超えられるかを冷静に見極めた方が良いように思いました。

偉そうに書いてきましたが、私たちもまだスタートラインに立ったばかりです。新規就農を目指す一家族の思いということで気軽に読んで頂ければと思います。

これで就農の経緯シリーズを終わります。

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