懐かしい味 

先日今年初物になる元祖桃太郎を食べた。

元祖桃太郎は作るのが難しい品種だと聞く。
樹のコントロールがしにくく、病気になりやすいらしい。
けれど、根強いファンは多く、元祖桃太郎は人気がある品種だと言う。

それを初めて頂いた。

美味しい……。

ゼリーが少し少なくて身の部分が多く、酸味と甘みのバランスがいい。
果実はちょっと柔らかめ、かな?
名前の通り、ピンク色から赤く染まっていくのが、
他の桃太郎の品種と少し違っていたのが印象的だった。

そういえば、びらとりトマトを初めて食べた時の感想は、まさにそれだった。

去年秋近く、訪問した農家さんや体験をさせて頂いた農家さんがたくさんトマトを下さった。
家に着くのを待って、トマトを大きく切り、そのまま手で持って齧った。

甘い。
でも、糖度がずば抜けて高いフルーツトマトのような洒落た味じゃない。
ちょっとだけ青い香りが残った、酸味もある、子供のころ齧った懐かしいトマトの味。。。。

あれはきっと違う品種の桃太郎だったのだろうけど、
あの味には私も主人も感動した。
大人とほぼ同じ食事を食べ始めた娘も喜んでトマトを食べた。
今思い出しても、秋近くで水を絞っていたからか、格別美味しかった!

だから、私たちはここ、平取を選んだんだと思う。
流行りの味ではなく、昔からあるトマトそのものの味を作ってみたくなった。

先日もTVを見ていたら熊本のトマトを紹介していた。
糖度が14の塩トマト。
それも美味しいんだろうなぁと思う。
けれど、きっとこのびらとりトマトには糖度では測れない美味しさが詰まっているに違いない、とも思う。
トマトの本にも書いていたが、糖度7と糖度6で食べ比べても、
糖度6のトマトを美味しく感じることもあるという。
きっとこういうことなんだろう。

だから私たちは毎日トマトと向き合って考える。
美味しいトマトになる方法を。
何だかとても楽しく、心躍るけれど、
難しいことだ。

けれど、毎日頑張って行こうと思う。
まずは農家になれる日まで。
それから農家なっても自分の納得できる味ができるようになる日まで。