平取町(北海道)のトマト農家の忙しさについて
こんにちは。就農1年目のとらパパです。
お盆になりました。平取町のトマト選果場は今日8月15日だけがシーズン中唯一のお休みとなり、私達家族も昨日午後から一泊二日の小旅行で十勝の上士幌町に来ています。13日までバルーンフェスタをやっていたので、見れなくて残念です…。
トマトですが、私達の都合を気にしてくれるはずもなく、毎日赤くなります。収穫量は日によって異なりますが、この時期に収穫を休むということは収入に直結しますので、残念ながら選択肢にはなりません(8/15は除きます)。平取でトマト農家になる以上、真夏のイベントはある程度あきらめざるをないのが実情です。
私も会社員時代、ゴールデンウィークや夏休みなど大型連休には有給をくっつけ、我先にと出かけたものですが、そういったことは今後農家を引退しないかぎり無理です。そう考えるとちょっと残念ですが、冬の休みが長いのと、世間が仕事のときに自分のペースで休みが取れるという自由さが農家のメリットと思っています。
お盆というと、私の出身の神奈川県、父親の出身の新潟、妻の両親の出身の三重県など、それぞれの場所でたくさんの夏の良い思い出があります。今はお盆らしいことは何もできないので、親や先祖には少し申し訳ない気持ちです。
さて、本題です。前回シーズンインしたとご報告してからあっという間に時は過ぎ、現在、各農家は収穫の最盛期を迎えています。
平取町のトマト農家は人によって若干異なりますが、2月〜3月初めころからシーズンがスタートします。シーズンスタート時は朝ゆっくり起きて時々午後は休みなど、自由に時間をつかえますがスポット的に忙しくなることがあります。
平取町ですと、「定植」といって育てた苗をハウスに植えるのですが、これを時期をずらして4-5回に分けて行います。例えば、今年の私達で言うと、4月初旬、5月初旬と中旬、6月上旬の4回で、ハウスの棟数は全部で6棟です。
時期をずらす最大の理由は農家的には忙しさの分散だと思います。次に収入の分散、農協的には産地として長い期間で安定的に市場に供給できる…ということもあります。
トマトは植えたら終わりという訳ではなく、定植後に「管理作業」が発生します。トマトの管理作業とは主に芽かき、誘引、摘葉、摘果、防除などになりますが、これを約1週間毎に行います。
ですので、言わずもがな定植をまとめて行うと上記のイベントが一度にやってくるため、とても手が回らなくなります。
また、農家最大のイベントである「収穫」もまとめてやってくるとなると管理作業が疎かになります。収穫が始まるのは人によって異なりますが、早い方で5月頭から。私達の場合は今年は5月末からでした。それでもこの時期は時間に余裕があります。
収穫が本当のピークになるのが7月上旬から8月のお盆過ぎの約1ヶ月半強と言われています。この時期、我が家も毎日朝から夜までてんやわんやです。朝4時半に起きて22時頃には完全に力尽きて寝る…の繰り返しです。とはいえそれがずっと続くわけではないので割り切って頑張るしかない感じです。
農家としては収穫して出荷しなければ1円も手元に入ってきません。ですので収穫は当然重要なのですが、もっと大事なのは、いかに早く収穫を終わらせ、管理作業の時間を確保するかになります。
管理が追いつかない→収穫に時間がかかる→さらに管理が遅れる…となると地獄の負のスパイラルとなり、最終的にハウス内がジャングル化する可能性も。手が付けられない状態になるのは思っているよりもあっという間ですので、できるだけこまめに手をかけるのがやはり重要なように思います。
また、地球規模で問題となっている温暖化ですが北海道も無縁ではなく、この時期、天気が良いと7時過ぎからハウス内はかなりの高温となり、収穫に時間をかけすぎると体力の消耗が激しく、休憩時間が長くなり、管理が…ということになります。
では、毎朝気合を入れて日の出とともに収穫をすればいいじゃない?という声も聞こえてきそうですが、この時期、農家(私達だけかもしれませんが…)の疲労はピークに達しており、朝起きるのも一苦労なのです。
私は会社員時代、日の出の時間を気にするのはゴルフの時だけでしたが、農家になって認識したのは6月末くらいが一番日が長いということ。今時期は段々と日の出が遅くなっており、どんなに早くても4時半からしか収穫は始められません。そして、19時には真っ暗になるので自動的に仕事は終了です。
今年の私たちはというと、収穫に最大14時半までかかっています。そこから遅い昼食と休憩をとり、仕事再開は早くて16時、時に17時からになることもあります。17時を過ぎると息子を迎えに行く準備もありますので、1人作業になります。管理作業にたっぷりと時間を使うことはできないので、優先順位付けが必要になります。
とはいえ、忙しさのピークは短いのでこれをどう乗り切って管理作業に注力するかが秋に向けてとても大事になります。
私たちは就農初年度ということもあり、いろいろと勝手が分からず既に6月初めからフルスロットル状態で走り続けている感じです。それでも管理作業の進捗は理想からだいぶ遅れています。
今年に関しては、まず新しい土地、農機具、仕事の進め方に慣れ、課題を見つけていくことが重要と考えていますので、問題が起きても、作業が遅れていても正直それほど深刻さは感じていません。
以前の投稿で触れましたが、平取町の就農プロセスでは最初の2年間が研修期間になります。この2年間で学んだことをそのまま就農1年目にぶつけ、通用するかを試している…というのが私達の現在地になります。今はあまり先のことを考えすぎず、毎日できることを目一杯やっている感じですが、家庭がありますので、ワークライフバランスを考え、仕事の進め方、時間の使い方は家族で相談して決めたほうが良いように思います…。
思った以上に長くなってしまいました。また機会を作って書きたいと思います。
今年は忙しく、写真をまったく撮っていないのですが、休ませているハウスで緑肥(ソルガム)をやっていまして、その写真を載せたいと思います。