昨年の振り返りと今年の抱負②
こんにちは。就農2年目のとらパパです。
ここ最近、雪予報が出たり消えたりちょっと不穏な感じです。今シーズン初の大雪がついに来るのか、明日以降も注意が必要です。
暇つぶしにやっている寒締めほうれん草の収穫スピードも慣れてきたのか少しずつ上がっている気がします。
音楽やポッドキャストを聞きながらのんびり進められる仕事なので結構気に入っていますが、後の仕事が迫ってくると終わらせなければいけないプレッシャーがかかってきそうです。
さて、先日の続きを書きたいと思います。
4.現場以外での勉強の必要性
誰しも経験があると思うのですが、会社員時代に仕事を自分のものにするためには会社の外でも勉強する必要があったと思います。
農家になってもこれは変わらないというのが実感です。
平取町で就農する場合、初年度に一通りの栽培講習がありますのでここで基礎を学ぶことができます。また就農してからも毎年種苗メーカーによる座学や現地講習会があり疑問点があればそこで確認できます。ただ、それだけでは最新の栽培方法を学ぶ機会は限られます。
他に学ぶ方法は様々あると思うのですが、身近なところで言うとトマト栽培に関する書籍や「現代農業」などでも最近のトレンドを知ることができます。
なかなか本が手に取れない場合は有料ですが、ルーラル電子図書館というオンライン図書館も農業関連の書籍が充実しています。
ただ、トマトのシーズンが始まると勉強にじっくり時間をかけることは難しくなりますので、私の場合はほぼ冬の機会に限られてきます。
その他には最近私たちの地域でやる気のある若手を中心に有料のオンライン栽培セミナー(といっても私は呼んでもらって参加しているだけですが)などがあります。
それから現在、平取町では4Hクラブ(農業青年クラブ)という若い優秀な農家を中心にしたグループが勉強会を行い、新しい(他の地域で当たり前になっているものもあります)栽培技術を試し、その結果を全体に広げる活動を始めようとしています。
一例をあげれば、ハウス内の環境制御です。ハウス内の環境(光、温湿度、二酸化炭素濃度、潅水のEC値など)を監視して、潅水・換気・遮光を自動的に最適な値に調整する。。
というような技術ですが、すべてが自動化になれば理想ですがとても高額なのでこれに近い形を手動で工夫していくのが今の主流となっています。
結果的にそれができている・・・という方は素晴らしいのですがデータを計測して客観視し、さらに昇華させていくことが大事なように思います。
高齢化していく農村で農家になったばかりの私でさえ、私たちの地域は今後産地として生き残れるのか大きな危機感を感じています。
そのためには今までやってこなかった新しい取り組みを積極的に勉強して実践し続けていくことが必要に思います。
私は今はまだ農家としてスタートしたばかりですので様々なやり方に興味を持って接することができるのですが、懸念しているのはある程度の結果が出て自信が出始めたときに自分のやり方に固執したり、頑固になっていかないかという点です。
そうなった時に新しいやり方に触れると話半分でまず疑いたくなるようにはならないかと。自分と違うやり方に触れたときに最初に面白いなと思えるような心を持っていたいなというのが理想です。難しいとは思うのですが。
5.シンプルにやる
これまで勉強の必要性を話してきて、それと矛盾する話を少しします。勉強して知識を積み重ねるのは重要なのですが、やり方(テクニック)や考え方に囚われすぎて頭でっかちになったり、迷って身動きが取れなくなるのも怖いと思っています。
これも親方からよく言われることなのですが、最終的に迷ったら「シンプルにやる」のが一番のように思います。
例えば、ハウス毎に生育のバラつきがある場合、肥料を変えてみたりするより生長点の観察をもとに単純に潅水量を増やす(減らす)とか、問題は意外に単純だったり、単純化した方が動きが取りやすいことがあります。
先ほど述べた環境制御にはいろいろ考慮すべき要素がありますが、今の生育ステージでは光はそれほど必要ないから対策を絞ってまずは積極的に遮光をしよう・・・とか。
迷ったら最低限やらなければいけないことをシンプルに考えて実行する、これは昨年も私には大きな支えになり今後も大事にしたいと思っています。
6.手が回るか(労働力)
私たちのような新米農家は先輩農家と比べて管理作業、収穫など様々な工程で時間がかかってしまうのが実情です。
だからこそ、まずは手が回る規模で最大の結果を目指すのが良いと感じました。昨年の私たちは通常の新規就農者のケースより少し面積を減らしてスタートしました。
作業スピードは理想からは遅れていましたが、何とかぎりぎりのところで手が回っていたので最低限それなりの結果が出たような実感があります。
研修中に親方からもよく言われたのですが、規模拡大して売上を増やすより規模はそのままでより手間をかけることで収量を増やすことを考えた方が良いというのは良く理解できました。
手を回すための方法はどんどん導入した方が良いと思います。例えば、基本を学んだ上で新規就農であっても初めから自動潅水を導入する、遠隔で操作・確認できる機器、時短につながる農機具は積極的に導入するなどです。
お金をかけないところで言えば今までやっていなかった摘花を行うことで、作業は1工程増え玉数は減りますが、一つ一つを大玉化させて収穫時間を減らし、その分管理に時間を使うといったことです。
最盛期に入ってくるとやったら楽になることは分かっているけど、忙しくてできない・・・ということは多々あります。
そういう時は家族で相談して優先順位付け・・・となるのですが、できるだけこまめに手をかけられるのが理想です。
また、別の視点から言うとタイパ(タイムパフォーマンス)が最適になるのが理想ですが、そうは言っても純粋に労働力・労働時間に頼らなければならないことが多々出てきます。最盛期、収穫後の芽かき・誘引などの管理作業は気合、体力以外の要素では乗り切れないと感じました。
ある程度の勢いのある樹を作ることができたら、あとはどれだけ管理作業に手をかけられるか。分かっているけれどやりきるのはとても難しい。今年はどこまでできるか不安であり、楽しみでもあります。
7.もっとできるはず
昨年暑さで軒並み収量を落としている農家が多い中でも私の親方は例年と変わらない高い収量を達成しています。一方、私の圃場は新畑で言い訳できない良いコンディションでできることは目一杯やったはずなのに大きな差がありました。
私たち新米農家と親方を比べるのはおこがましいのですが、何が違うのか妻と話し合ったりまだまだできることがあるはずだと思っています。
以前にも書いたのですが、前の年うまくいったからといって今年も同じようにいくかは未知数というのが農業の怖いところで私たちのような実績のない農家は特にそうです。
どんな予想していなかった出来事があるかもわかりませんし、あったとしても安定した結果を出してそれを継続していく。とても難しいことなのですが、私たちには見本となる親方がいるのでその姿を目指していきたいです。
ここまで書いてきて会社員時代になぜもっとモチベーション高く働かなかったのか疑問が出てきました。
新卒で入った会社では様々な外部研修があったのですが、ある会で会社組織に入ったからには社長を目指すくらい昇進に人生かけなきゃダメだよ、と言われた記憶があります。
一方、私は結構冷めていてある程度の給与で平均くらいで良い・・・という気持ちでいた記憶があります。
今は期せずして社長(個人事業主)になってしまい、自分の働きが収入に直結するため覚悟が決まったからなのか…。
今から考えるとどんな環境にいてもベストを尽くす姿勢は大事なのでしょうね。
その上で前年の自分の実績を毎年更新することを目標にやっていきたいと思います。
いろいろ書きすぎました。結論としては農家は個人事業主なので何をやっても自由です。
誰とも比較する必要はなく、自分の納得いく考えと方法、ペースで設定した目標に届けば良い訳ですから本当はできるだけ楽しくというのも目指していきたいですね。